調剤ミスが多い薬剤師ほど、失敗ばかりするから辞めたいと思ってしまいます。
薬剤師にとって調剤ミスが多いことは「仕事ができない薬剤師」と思われる理由の一つですが、調剤ミスが多い事には原因があるので対策をすれば必ず防止できます。
薬剤師のインシデントの多くは計数調剤ミスなので、まずはその原因を徹底的に対策すれば失敗ばかりの薬剤師なんて思われなくなります。
今回は、調剤ミスが多い薬剤師がまずやるべき対策を詳しく紹介します。
調剤ミスが多いのは自分だけが原因ではありませんよ。

薬剤師デイゴ
年商20億円の調剤薬局チェーンのNo.2してました。
薬局運営・薬剤師採用・経営すべてやってましたが、面白い人生を求めて転職。
今では副業と投資をしながら、ゆったり薬剤師しています。
薬剤師の調剤ミスが多い原因
調剤ミスの発生原因に関する調査結果
薬剤師の調剤ミスの原因は、2020年薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の調査結果では、判断誤りがミス発生要因の1位になっていました。
ここで調剤ミスの原因1位は判断ミスだと分かったのですが、なぜ薬剤師が判断ミスをしてしまうのかという根本的な原因が分からなければ対策もできません。
順位 | 発生要因 | 件数 |
---|---|---|
1位 | 判断誤り | 9,354 |
2位 | 慣れ・慢心 | 8,487 |
3位 | 繁忙であった | 7,533 |
4位 | 焦り・慌て | 5,853 |
5位 | 手順不遵守 | 3,782 |
6位 | 医薬品の名称類似 | 3,443 |
7位 | 薬局内のルールや管理の体制・仕方 | 3,065 |
8位 | 知識不足 | 2,561 |
9位 | 医薬品や包装の外観類似 | 1,568 |
10位 | 処方箋やその記載のされ方の要因 | 1,314 |
調剤ミスが多いのはなぜ?
調剤ミスに限らず、ミスが起こるのは判断誤りが原因です。
では、なぜ判断誤りが起こり調剤ミスが多くなってしまうのかは、発生要因の2位~4位で分かります。
順位 | 発生要因 | 件数 |
---|---|---|
2位 | 慣れ・慢心 | 8,487 |
3位 | 繁忙であった | 7,533 |
4位 | 焦り・慌て | 5,853 |
まず調剤ミスが多い原因をずばり結論付けます。
薬剤師はどの職場であっても、調剤方法や鑑査手順を一から教わります。
教わった手順通りにすれば、調剤ミスをしてしまう可能性は非常に低くなります。
慣れや慢心があれば、確認すべきことを1個以上はおろそかにしてしまいます。
繁忙から生じる焦りや慌てという感情になると、確認したつもりが確認できておらず作業をショートカットしてしまいます。
つまり調剤ミスが多いのは、自分の感情をコントロールできていないのが原因です。
薬剤師の実際の仕事を知らない方は、現状の設備で薬剤師は調剤ミスをチェックできるといっています。
現実には、薬局でレセコン(レセプト・コンピュータ)と呼ばれる端末に入力しており、投薬ミスなどもこれでチェックできる。
コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす Yahoo!ニュース
現状のシステムだけで調剤ミスがなくなるのであれば、もう十年前にミスはなくなっているはずです。
それでもミスが無くならないのだから、調剤ミスが多い根本的な原因をしっかり分析して対策をしないと意味がありませんね。
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調剤ミスが多い薬剤師の対策方法
調剤ミスが多い薬剤師は、まず原因が分かったので対策をしましょう。
失敗ばかりしているからと思っていても、薬剤師としてスキルアップできませんよ。
調剤ミスが多いのは、自分の感情をコントロールできないからだと結論付けました。
ということは自分の感情をコントロールさえできれば、調剤ミスが多くなることはありません。
薬剤師が調剤ミスを防止するために感情をコントロールするには、3つの方法があります。
調剤ミスをしないスピード
薬剤師は調剤ミスをしないように注意しますが、スピードも重視しなければいけません。
調剤ミスをしないスピードを身に着けようと思っても、1個の薬を10回も確認するわけにはいきません。
薬剤師は焦ってしまったり慌てると、普段以上に急いでしまい調剤ミスが多くなります。
実際に調剤ミスをしないスピードを体感すると、遅いようでも結構速く処理できますよ。
それに調剤ミスをすれば一からやり直しをしないといけないので、トータルの処理時間で比較しても1回で完了させた方が短時間になります。
ミスを見つけるための手順
薬剤師が処方鑑査やピッキング後の計数チェックをするときには、会社で決められた鑑査手順で確認することもあります。
会社で決められた手順や、先輩薬剤師に教わった手順は、自分にピッタリ当てはまる手順ではありません。
大半の薬剤師にとってミスを防止できたり、教えた本人がミスを見つけやすい手順でしかないんです。
調剤ミスが多い薬剤師であれば、すべての手順を決めてしまったほうがいいです。
調剤ミスを見つけるための手順を、どんな状況でも同じスピードでできるようにまですると調剤ミスは減っていきます。
調剤ミスをしたときの感情分析
薬剤師が調剤ミスをするときには、必ず普段と違う感情がでていることでミスが起きやすくなります。
調剤ミスをしてしまったら、ミスをしたときの自分の感情を思い出して分析してください。
調剤ミスをしたときの自分の感情を分析することで、どんな状況で自分の感情をコントロールできなくなるのかが分かります。
普段通りの仕事の仕方をすれば、薬剤師なら誰だって調剤ミスはしません。
普段通りにできない感情だったからこそミスが多くなってしまいます。
だから同じミスを何度も繰り返してしまうことになります。
まずは自分が調剤ミスが多いことを他の薬剤師に相談してみて、協力してもらってくださいね。
調剤ミスは自分一人では減らすことは難しいんです。
本気で環境を変えてでも失敗ばかりの薬剤師から脱皮したいなら、転職サイトに登録して相談してみるといいですよ。

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薬剤師でインシデントが多い人の特徴
薬剤師でインシデントが多い人の特徴を知ることで、自分だけが調剤ミスが多い薬剤師なのか、それとも同じように調剤ミスの多い薬剤師がいるのかが分かります。
経験が短いと調剤ミスしやすい
2020年薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の調査結果では、薬剤師の経験年数別にインシデントの発生件数を集計しています。
調査結果からは、5年目までの薬剤師がインシデント発生件数が多く、調剤ミスをしやすい事が分かりました。
経験年数 | 発生件数 | 割合 |
---|---|---|
0‐5年 | 8,287 | 32.4% |
6-10年 | 5,342 | 20.9% |
11-15年 | 3,911 | 15.3% |
16-20年 | 4,362 | 17.0% |
21-25年 | 2,007 | 7.8% |
26-30年 | 1,691 | 6.6% |

疲れやすい人は調剤ミスが多い
薬剤師のインシデント発生件数を、発生時間帯で調査すると疲れやすい人は調剤ミスが多い傾向にあることが分かりました。
薬剤師のインシデント発生が多い時間帯は、10-11時が37.7%と最も多いです。
この時間帯に調剤ミスが多くなるのは、繁忙時間帯というだけでなくお昼休憩に差し掛かる前の体力がなくなりかけている時間帯です。
発生時間帯 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
8-9時 | 8,623 | 8.3% |
10-11時 | 39,174 | 37.7% |
12-13時 | 17,741 | 17.1% |
14-15時 | 15,849 | 15.2% |
16-17時 | 17,448 | 16.8% |
18-19時 | 5,192 | 5.0% |
さらに詳しく調査すると、16-17時の時間帯になると発生率が16.8%とミスが多くなる傾向があります。
10-11時の時間帯であれば繁忙だけが調剤ミスの原因として有力になりますが、閉店間近の時間帯で調剤ミスが多くなるということは、やはり精神的な疲れも原因になっているということが分かります。
薬剤師でも、「あと少しで仕事が終わる」と思ったら、気が抜けてしまいますよね。

先のことを考えている薬剤師はミスが多い
私がこれまで見てきた調剤ミスの多い薬剤師には、人間的な特徴があります。
調剤ミスが多いと悩むのであれば、先のことは考えなくてもいいです。
一つの作業がすべてミスがないか確認出来てから、次に何をしようか、どこを確認するのかを決めてください。
調剤ミスの多い薬剤師を見ていると、手の動きも視線もいろんなところをウロウロしています。
一度に多くのことを考えられないからミスが多いのだから、ミスがないことが確認出来てから次の作業をしたほうが防止できます。
失敗ばかりの薬剤師はやるべき!計数調剤ミス対策
失敗ばかりしている薬剤師が絶対やるべき、計数調剤ミスの対策を紹介します。
薬剤師の調剤ミスで一番多いのが計数調剤ミスです。
計数調剤ミスを減らすことが出来れば、調剤ミス件数を一気に減らすことが出来ますよ。
調剤した後に再確認
計数調剤ミスが多い薬剤師は、慌てているので調剤後の再確認ができていません。
できていると思っていても、自分でミスしていると思っては確認しないはずです。
自分でピッキングした後に、もう一度処方箋と数を確認しなおしてください。
処方箋を基準にしないと調剤ミスが多いままです。
入力後の帳票と確認しても、入力が間違っていれば意味がありません。
計数のミスは思い込み
計数調剤のミスは思い込みが原因なので、その思い込みをどうやってなくすかが重要になります。
特に計数ミスで注意しないといけないのは、3つあります。
私も薬剤師業務をしていて、ウィークリー包装や散剤ヒート包装の計数確認が苦手でミスが起きやすいです。
急いでいると暗算で計算してしまい、計算機を使わない事があります。
最近では抗がん剤などウィークリーでもない、包装単位の医薬品も増えてきましたね。
貼付剤の場合も、一包あたりに入っている枚数が違う医薬品があります。
よく出るのは7枚包装だけど、たまに6枚包装で処方される面処方を受け付ける事があります。
外用剤でも1本25gのものと50gのものがあり、処方箋を確認しないとミスが起こりやすいです。
いつまで経っても計数調剤ミスは起こってしまいます。
どうせミスをすると分かっているなら、計算機を使って確実に確認しましょう。
薬局で薬の間違い!薬剤師の調剤ミスの責任
薬剤師が調剤過誤などのミスを引き起こした場合、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われる恐れがあります。
薬局で薬の間違いが起こり、薬剤師の調剤ミスの責任を問う判例を見ることがあります。
薬剤師の調剤ミスの責任は3つに分かれます。
刑事責任
薬剤師が調剤事故を起こしてしまい、患者に健康被害をもたらした場合は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われる恐れがあります。
業務上過失致死傷罪は、患者が死亡するなどの重篤な被害が起きたときに刑事責任として問われますが、被害が軽微な場合には可能性は低くなります。
行政責任
薬剤師が薬をミスしてしまい、患者へ何らかの被害が発生した場合に、薬剤師が厚生労働大臣から薬剤師としての業務停止や免許取消などの処分を受ける責任です。
行政責任は薬剤師がミスをしたら必ず問われるものではありません。
厚生労働省が事件として把握したものを医道審議会にかけ、そこで処分が必要と判断された場合にのみ処分されることになります。
民事責任
民事責任は、薬をミスしてしまい患者に被害があったことに対して金銭で責任を償う損害賠償責任です。
民事責任は裁判にならないと発生しないものではありません。
薬剤師が患者に対して損害を与えれば、民事責任を問われます。
よく「示談」という言葉がありますが、裁判にはならなくても被害にあった患者と薬局開設者側が話し合い、被害状況の確認やミスと被害の因果関係が明らかになれば民事責任は成立します。
薬剤師は調剤ミスが怖いのが当たり前
薬剤師は調剤ミスが怖いのが当たり前です。
だからこそ調剤ミスが多い薬剤師は、失敗しない対策をしないといつまで経っても仕事ができない薬剤師だと思われてしまいます。
調剤ミスが多い薬剤師には必ず原因がありますが、薬剤師自身にだけ原因があるのでしょうか?
実は、薬剤師が働く環境にこそ調剤ミスが多くなる原因があります。
薬剤師は調剤ミスが起こるのが本当に怖いです。
怖いからこそ同じ職場で働く薬剤師が情報共有して、調剤ミスが起こりにくい環境を作らないといけません。
でも薬剤師は疲れ切っている人が多いので、ちょっとした調剤ミスでは「またやっちゃった」としか思えなくなります。
軽度な調剤ミスならまだいいでしょう。
大きな健康被害になるほどの調剤事故でしたらどうしますか?
まず同じ薬剤師として先輩薬剤師や上司が調剤ミスが多く発生していることを、真剣に考えているのかよく見てください。
調剤ミスが怖いとも感じなくなった薬剤師ばかりなら、その職場は調剤ミスが多いままで減ることはありません。

薬剤師は、一生のうちに最低でも2回は転職すると調査結果で分かっています。
調剤ミスから自分を守るためなら、あなたにピッタリな環境で働かないと成長すらできません。
本気で調剤ミスをゼロにしようと、設備投資をしている薬局もたくさんあります。
大手ばかりが調剤ミスを減らそうとしているわけではありません。
地方の数店舗の調剤薬局だって、調剤ミスが多い現状を改善するために必死で頑張っています。
現実には、薬局でレセコン(レセプト・コンピュータ)と呼ばれる端末に入力しており、投薬ミスなどもこれでチェックできる。
コンビニより多い「門前薬局」が医療費を食いつぶす Yahoo!ニュース
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あとは転職エージェントと薬剤師としての悩みを相談するだけですよ。

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調剤ミスが多いし何年たってもミスが減らないって考えると、薬剤師を辞めたくなりますよね。
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薬剤師が辞めたいと考えて転職に踏み切る理由を紹介します。
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